「俺的にはロリロリな女の子が裸のコートっていう図が最高にそそるんだが君はどうだい?」
「高校生くらいの女の子が制服着ているのが一番好きですね、中学校でも構いませんけど」
「ふむふむなるほど、結構変態と呼ばれている割には普通の趣味だね、街の言い分的にはもっと異常な趣味をしているのかと思っていたが」
「スカートの中がスパッツなのは邪道だと思います、メイドさんも」
「なにをいうか!双識くん、そんなことをする邪道中の邪道な存在はもうすでに愛でる対象でもないよ」
「なるほど、アスとより、貴方との方が意見が合いそうですね」
「そうかい、君もむしろ何もはいてない存在の方にそそられるのかね」
「前言撤回、黙ってろこの変態」

リビングのソファーの上に、その存在は堂々と座っていた。
テレビの画面には中学生と思しき少女が、短いスカートを気にすることもなく、何かよくわからない怪物をなぎ倒そうとしていた。
純粋なアクション映画なのだろうが、男の言葉でそれはすでにその趣旨から外れている。
しかしいくら見ていたところで、そのスカートの中が見えるようなこともなく、そのきわどい場面にさしかかるたびに兎吊木は舌打ちをした。
双識はその様を見、自分の手の中にある鋏に視線を落とした。
血払いを済ましていないそれは赤黒く光ってい、袖の端には赤い血が滲んでいた。
まだそれが乾いていないことから自分が人を殺してきてからそう時間がたっていないことがわかる。
それもそうだった、双識は家に帰って来て、部屋に電気がついていて、ああ家族が誰かいるのだと胸を躍らせてリビングに駆け込んだのだった。
しかしそこにいたのは変態と呼ばれる自分でさえ変態と定義いしている、マッドサイエンティストと言えば聞こえがいい、そんな破壊者だった。
そのうえ、我が物顔で、双識のDVDプレイヤーで映画を見ている。

「で、何であなたがここにいるんですか」
「理由が欲しいかい、いいだろう、君と話したくなったからだよ簡潔に言えば」
「どんな格好がそそるについてですか」
「恋人に会いに来てはいけないのかい?家族以外には本当に冷たいな君は」
「誰が恋人ですか」
「ん?ああ、恋人は街なのかい?じゃあ愛人でも構わないぜ、大丈夫だよ双識くん、僕は泣きたくなるくらいに寛大なんだ、愛人くらいの扱いだって喜んで君に跪こう」
「まずてめえのことなんぞ愛してすらいねえよ、勘違いもほどほどにしとかないと首をはねるぞ」
「手厳しいな、君は」




「君が、今日一人なのだろうと思ったからさ」




「・・・それが何か問題でもあるんですか」
「家族の為に殺戮を行って、それがいくら理由として最強であって自分をだますに足ることであってもだ、それを称賛する存在が、ただ労う存在すらいないのは堪えるのではないかと思ったのだよ」
「・・・ああ、なるほど、アスはいま死線の蒼のところにいるんですね」
「さあねえ」
「別に、そんな事で揺らぐほどに私は脆くなんてないですが、まして殺人鬼、二十番目の地獄と呼ばれる私ですよ」

そういいきった双識に兎吊木は苦笑した。

「双識くん」
「なんですか」
「なんでサラリーマンのお父さん達はあんなに働いて、なのにあんなに少ないお小遣いしかもらえないのに会社に通い詰めるのだと思う?」
「家族を養うため・・・あとは世間的体裁を保つためなんじゃないですか」
「違うね、双識くん、それは言い訳だきっと、彼らは奥さんに、子供に、こういって欲しいのさ」

そういうと兎吊木はゆっくりと立ち上がり、双識の前に立った。
そして、意地の悪い笑みを浮かべ、囁く。


「今日もお疲れ様、双識くん」


兎吊木の言葉に僅かに表情筋をひきつらせた双識に、兎吊木はほら、君だって毎日家族の為に身を粉にしてデスクワークに勤しむサラリーマンたちと何にも変わらないよ、と笑う、哂う、嗤う。




限りなく人に似ている



++++++++++
兎さんと双識さん。
変態同士の会話は楽しいです。


title群青三メートル手前